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トルクリミッタとは? ~構成解説と導入例~

トルクリミッタとは?

トルクリミッタの導入例

トルクリミッタとは

トルクリミッタ(Torque Limiter)とは、機械装置において過負荷による破壊を防ぐための安全装置です。

トルクリミッタは動力の伝達経路(シャフトやカップリング)に組み込まれ、あらかじめ設定された規定の上限トルクを超えた回転力が発生した際、瞬時にその動力の伝達を遮断または制限する役割を果たします。

例えば、異常な負荷の発生(詰まり、異物混入、急な抵抗の増加など)、機械の慣性(停止時や起動時に生じる大きな衝撃力)、または操作ミス(設定速度や負荷を誤って投入してしまう)といった異常事態が発生すると、モーターには過大な負荷がかかり、そのままではギアや軸などの重要な部品が破損してしまいます。トルクリミッタは、この異常なトルクを感知すると即座に作動し、入出力の連結を切り離すことで、機械の主要部品を保護します。

トルクリミッタとは

トルクリミッタの構成

トルクリミッタは大きく分けて、コイルスプリング式やヒステリシス式、ボール・ディテント式、破断ピン式などがあり、過負荷発生時のトルク伝達を遮断する原理によって分類されます。
それぞれの特徴によって使い分けがされていますが、当社で採用しているコイルスプリング式について解説します。

コイルスプリング式

コイルスプリング式とは、摩擦力を利用してトルクを伝達するタイプで、過負荷時にはスリップ(滑り)して動力を逃がす作動方式です。

コイルスプリング式の構成部品例

コイルスプリング式の構成部品例

コイルスプリング
トルク伝達に必要な押圧力を発生させるための部品。このバネの力を調整することで、設定トルクを変えることができます。

ナイリン
トルクを伝達するための摩擦材。これが滑ることでトルクを制限します。

ハウジング
全体の構造を保持し、バネの力を受ける外側の部品です。

トルクリミッタの原理

コイルスプリング式

コイルスプリング式は、摩擦力を利用してトルクを伝達する方式です。

通常時(低トルク)
入力側から伝わるトルクは、ナイリン、コイルスプリングを介して、バネのフック部分でハウジングに伝わります。
ナイリンに圧入されたコイルスプリングが適切な圧縮力を保ち、その摩擦力によってトルクが伝達されます。

過負荷時(高トルク)
設定トルクを超える力が加わると、コイルスプリングが緩みます(圧縮力が低下する)。
ナイリンとコイルスプリング間の摩擦力が不足し、ナイリンだけが空転(スリップ)し始めます。
これにより、設定トルク以上のトルク伝達が遮断され、機械の破損やモーターの焼損を防ぎます。

過負荷解除後
過負荷が取り除かれると、スプリングの圧縮力が回復し、再び摩擦力によってトルク伝達が再開されます。

トルクリミッタの導入例

導入例1
自動車パワーバックドアへの応用

トルクリミッタの用途 自動車パワーバックドアへの応用

自動車のパワーバックドアの開閉動作を安定させる上で、特に「動作の滑らかさ」と「停止時の安定性」が課題となっていました。具体的には、ドアが開き始める際の急な飛び出しや、開閉中の角度や重量に起因する振動の発生が見られました。さらに、全開位置で停止した後にも、揺れが発生していたため、動作の質の向上が求められていました。

当社の開発したトルクリミッタ「バックドア向けリミッタ」をパワーバックドアに搭載した場合、ダンパー効果により、ドアが開き始めるときの飛び出しを抑えることが可能となり、また、ドアが全開位置で停止した後の揺れも抑制できます。
特に、パワーバックドアが開く際には、ドアの角度や重量によってバネの動きに変化が生じますが、トルクリミッタを搭載することで、振動が収束され、動作の安定化に貢献します。
同様に、ドアが閉まる時も状況によって動きに変化が生じますが、トルクリミッタによって安定した開閉動作が実現します。

さらに、当社のトルクリミッタには安全保護機構も内蔵されています。例えば、バックドアが開く際に異様な力が加わるなどして機構に負荷がかかった場合、この安全保護機構が作動し、異常時の故障を防ぐことが可能となります。

導入例2
ワンタッチ昇降式ブラインドの安定性向上

トルクリミッタの用途 ワンタッチ昇降式ブラインドの安定性向上

リビングやダイニングなどの窓周りで使用されるワンタッチ昇降式ブラインドにおけるブレーキ機構は、従来オイルダンパー式が一般的でありましたが、オイルを使用しているため、温度環境の影響を受けやすく、季節や室温の変化によってブラインドの降下速度が変動し、安定した速度での降下が困難でした。
また、設置・調整の面でも、ブラインド取り付け後に降下速度の調整を容易に行うことが難しく、さらに、材質、サイズ、重量の違うブラインドを使用する際に、それぞれに適した降下速度を設定し、製品間で同じ降下速度に統一することが困難であるという、設置後の調整の柔軟性に関しても問題も抱えていました。

当社が開発したトルクリミッタ「多段式遠心ブレーキ」は、これらの課題を根本から解決します。
この「多段式遠心ブレーキ」は、オイルを使用しない構造であるため、温度環境の影響を受けにくいという特長を持ち、その結果、室温や季節を問わず安定した速度での降下が可能となりました。
その動作原理は、遠心力によってブレーキシューを広げ、摩擦で回転速度を安定的に制御することで、ブラインドの降下速度を常に一定に保つものです。

さらに、「多段式遠心ブレーキ」の核心となる機能は「切り替えスイッチ」です。このスイッチを活用することで、ブラインドを取り付けた後でもブレーキ力の調整が容易に行えるようになり、設置後の調整にかかる手間を大幅に軽減します。加えて、材質、サイズ、重量の異なるブラインド間においても、スイッチ一つで降下速度を統一することが可能となり、製品設計の柔軟性と利便性を大きく向上させることができます。

導入例3
ATMにおけるシャッター開閉時の機械制御と安全性の向上

トルクリミッタの用途 ATMにおけるシャッター開閉時の機械制御と安全性の向上

これまで、ATMのシャッター開閉機構には複数の課題が存在していました。まず、動力伝達の制御が不十分だったため、モーターの回転がオーバーランし、シャッターを正確な位置で停止させるための位置決めが困難であるという問題がありました。これにより、装置の安定稼働が損なわれるリスクがありました。
さらに重要な課題として、非常時の人命保護が挙げられます。万が一シャッターが閉じるときに利用者の手が挟まるような事態が発生しても、動力が自動的に遮断されないため、安全性が確保されないという重大なリスクを抱えていました。

トルクリミッタは、一定トルクで動力を制限・遮断するその機能により、これら正確な動作の維持と緊急時の安全確保という二つの重要な課題を同時に解決するために採用されています。

まず、トルクリミッタの主要な機能である「一定トルクで動力伝達を制限させるリミッター機能」は、シャッター開閉時の正確な位置決め機構として利用されます。トルクリミッタが作動することにより、モーターの回転が意図せずオーバーランしてしまうことを防ぎ、シャッターを常に正確な位置で停止させることが可能となります。これにより、ATMの動作信頼性が大きく向上します。
さらに、トルクリミッタは、利用者を守る安全機構としても絶大な効果を発揮します。シャッターの動作中に利用者の手が誤って挟まってしまうような非常時においても、トルクリミッタは設定された一定トルクで直ちに動力伝達を遮断します。これにより、シャッターが必要以上に強い力を加えることを防ぎ、人身事故を未然に防ぐことができ、人命保護の観点から高い安全性が確保されます。
このように、トルクリミッタは、正確な機械制御(位置決め)と緊急時における人身保護(安全機構)という、異なる二つの重要な機能を、ATMのシャッター開閉機構において同時に実現することで、日々の金融サービスの安全かつスムーズな提供を根底から支えております。

導入例4
お掃除ロボットにおける内部部品の保護

トルクリミッタの用途 お掃除ロボットにおける内部部品の保護

お掃除ロボットのように、現代の製品群はどんどん小型化・高性能化が進み、私たちの身の回りに急速に普及しつつあります。このような進化を続ける機器群において、安全機構は必要不可欠な要素です。
お掃除ロボットはセンサーを使用して危険を回避しながら動作しますが、予期せぬ事態に遭遇した際に安全機構がなければ、製品本体に傷がつくだけでなく、内部の動力部が破損し、ひいては故障の原因となる危険性があります。さらに、製品の小型化が進むにつれて、安全機構にも小型で高トルクな性能が求められるようになっています。

この重要な安全機構として機能するのが、当社の開発する「小型トルクリミッタ」です。

お掃除ロボットにおける具体的な応用事例として、本体下部の吸い込み口からローラーでゴミを巻き込んで掃除をする機構でその効果を発揮します。
例えば、床に落ちている大きな固形の物をローラーが巻き込んでしまった場合、ローラーの回転が急激にストップし、過度な負荷がかかることがあります。このような過負荷の状況が発生した際に、ローラーとつながっているギアの内部にトルクリミッタを組み込んでおくことで、内部部品の確実な保護が可能となります。すなわち、ローラーに無理な力がかかっても、トルクリミッタが作動し動力伝達を瞬時に遮断するため、ギアやモーターなどの内部の部品が破壊されるのを防ぐことができます。これにより、製品の故障を防ぎ、長期間にわたる安定稼働を支えます。
製品の小型化と長寿命化の要求に合わせて、当社のトルクリミッタも、高い信頼性を保ちつつ小型化され、非常に長寿命なものとなっております。小型機器の信頼性と耐久性を向上させる上で、この小型トルクリミッタは欠かせない役割を担っています。

導入例5
自立支援ロボットにおける安全機構

トルクリミッタの用途 自立支援ロボットにおける安全機構

近年特に注目が集まっている自立支援ロボットは、その機能の複雑性ゆえに、高度な安全機構が不可欠です。これらの最先端の精密機器においては、人や環境との接触が常に想定されるため、予期せぬアクシデントが発生した場合に、ロボット自身と周囲の安全を確保しなければなりません。こうした高度な要求に応える性能、すなわち高トルク、高耐久、高精度を備えた安全装置として重要な役割を担うのが、小型トルクリミッタです。

自立支援ロボットの動作において、安全装置が必要となる具体的な状況として、ロボットのアーム(ロボットの手)が予期せぬ障害物に当たった場合が想定されます。このようなアクシデントが発生した場合でも、トルクリミッタが搭載されていることで、接触時の衝撃からロボットを確実に守ることができます。
そのメカニズムは、二つの重要な機能に集約されます。一つ目は、障害物との接触時に衝撃を吸収する機能です。二つ目は、設定以上の力が加わった際に動力を直ちに遮断する機能です。これらの連携した動作により、外部からの衝撃が内部に伝わるのを効果的に防ぎ、ギアやモーターなどの内部部品が破損することを防ぐことができます。
自立支援ロボットのような精密機器においては、大きさや動作の精度が極めて重要となりますが、小型トルクリミッタは、こうした要求に対応し、高い精度で過負荷からシステムを保護します。さらに、このトルクリミッタは繰り返しの使用に対応しているため、実用環境下で高い信頼性を持って安全機構としての役割を継続的に果たすことが可能です。
このように、小型トルクリミッタは、衝撃の吸収と動力の遮断という二つの機能を通じて、自立支援ロボットという高度な技術製品の安全性を根本から支え、人や環境との安全な共存に大きく貢献しています。

トルクリミッタのその他の導入例

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